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第123話 噂話といつもの二人

 浩貴と翔多のクラスに編入生が来るという話が知れ渡ったのは、土曜日の朝のことだった。  情報源は新聞部の男子生徒である。 「マジ!? いつ来んの!? 今日!?」 「来週の月曜日からみたい」 「男かな女かな」 「あー、まだそこまではつかめてないなー」  クラスメートたちがワイワイ騒ぐ中、浩貴と翔多もその輪の中に入っている素振りを見せていたが、実際のところ二人の心はとっくに午後へと飛んでいた。  今日は久しぶりにデラックス・ツインの部屋で泊まる予定になっている。つまり明日の夜までずっと二人きりで濃密な時間を過ごせるのだ。  編入生のことなどはっきり言ってどうでもいいことだった。  授業を終え、待ちに待った放課後、浩貴と翔多はいったんそれぞれの家と下宿先へ帰り、私服に着替えてから落ち合った。  駅前のファミリーレストランで食事をすませ、いつものホテルへと向かう。  デラックス・ツインの部屋へ入ると、オートロックのドアがまだ閉まりきらないうちに、浩貴は後ろから翔多を抱きすくめた。 「わっ、浩貴っ……そんな、いきなりっ、だめだよー。ねー、シャワー……」  浩貴の性急な行動に、翔多は少しくすぐったそうに身じろぎ、やんわりと抵抗をしてくる。  浩貴はそんな翔多をより強く抱きしめると、 「翔多……」  耳元で熱く囁きながら、もう既に固く勃ちあがりかけている雄を彼のお尻にグッと押し付けた。 「あっ……浩貴っ……」 「……翔多……」  浩貴は翔多の着ているトレーナーをたくし上げると、小さな乳首をつまみ、くりくりと刺激してやる。 「あ……やだ……、浩貴……。ね、今日、体育あったし……シャワー、浴びさせてよ……んっ……」  翔多が甘い吐息混じりの声で言い、力の入りきらない手で、乳首へのいたずらをやめさせようとするが、浩貴は許さず、 「だめ……。もう待てない……」  低く囁き、翔多の体を自分のほうへ向かせると、深い口づけを交わした。

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