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第126話 濃密な時間、そして……
「好きだよ……翔多……翔多……」
浩貴もまた、きつく締めつけてくる翔多の中の気持ちよさに、声が甘く掠れる。
翔多を壁に押し付けたままの体位で、今まで以上の激しさで彼の中を突き上げた。浩貴の限界も近い。
「あっ……や……浩貴……浩貴っ……」
「翔多……翔多……好きだよ、……っ……」
そして今度は二人同時に高みへと昇りつめた。
ホテルの部屋にはしばらくのあいだ、浩貴と翔多の荒い呼吸だけが響いていた。
やがて呼吸が落ち着いてくると、浩貴は翔多を抱き上げてバスルームへと向かった。
翔多は快感の余韻にたゆたい、大きな瞳を虚ろに彷徨わせ、浩貴のされるがままになっている。
二人の愛の交わりは、まだ始まったばかりだった……。
月曜日。
日向高校の浩貴たちのクラスは朝から編入生の話題一色だった。
偶然に職員室で、その編入生をチラッと目撃した女子生徒が、さっそく興奮気味に報告している。
「結構イケメンだったよー」
「うそー! 早く見たーい」
編入生が男子だと知り、女子生徒たちは超盛り上がり、男子生徒たちはちょっとテンションが下がった。
だがどちらにしても、もうすぐご対面となる相手に興味は尽きない様子だ。
そんな大騒ぎのクラスメートたちを余所に、月曜日の朝から机で眠りこけている二人の生徒がいた。そう、浩貴と翔多である。
土曜日、日曜日の両日、甘く濃密な時間を過ごしたせいで、心地良くお疲れなのだった。
浩貴は眠くてたまらなかった。頭の上で飛び交うクラスメートたちの騒がしい声も、眠気を覚ましてはくれない。
……午前中持つかな? 午後はサボって屋上で翔多と昼寝しようか……。
あ、でも今日午後一で数学の授業がある。さすがにサボるとまずいよな。また山ほどの宿題プリントが翔多に……。
浩貴はそんなことを考えながら、重いまぶたを開け、窓際の席で同じように居眠りをしている翔多を見た。
翔多は机の上に突っ伏して眠りこけていて、少しだけそのかわいい顔が見えている。
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