127 / 177
第127話 編入生
……本当かわいいよな、翔多って。
あんなにあどけない顔してるくせに、エッチのときはすごく色っぽくて淫らで……。と、だめだ、だめだ。
土、日のめくるめく愛の行為を思い出すと、こんなに眠くて疲れているというのに、浩貴の体は翔多を求めて反応してしまう。
……オレってこんなにやらしかったっけ? いや健康な高校生の男としては普通だよな。
それにだいたい翔多がかわいくて、エロ過ぎるから……。
浩貴が寝ぼけた頭で、のろけを延々と思い巡らせていると、チャイムが鳴り、担任が教室へ入ってきた。
「起立、礼、着席」
朝の挨拶をロボットのような動きでこなすと、浩貴は再び机に貼りついてしまう。
どうして学校の机というのはこんなに寝心地がいいのだろうか?
「――というわけで、新しいクラスメートが来たので、みんな仲良くするように」
担任がそう言ったあと、誰かが入ってくる足音が聞こえた。
クラスメートたちのざわめきが、居眠りをする浩貴の頭の上を飛び交っている。
そして、次の瞬間。
「今里司です」
はあ!?
浩貴の眠気が一瞬にして消え去る。
「アメリカから帰ってきたばかりです」
「今里っ!?」
「今里くんっ!?」
ガタンッと大きな音を立て、浩貴と翔多はほぼ同時に椅子から立ち上がった。
「よろしくお願いします」
ペコリとお辞儀をする今里。
よく見知った顔と声、金輪際見たくも聞きたくもなかった顔と声。
今里は顔を上げると、まずは翔多のほうを見て、にっこりと優しく微笑みかけ、次に浩貴を見ると、口角を片方だけ上げ、挑戦的に笑った。
どうして、いったいなんで、こいつが!?
浩貴は今里を鋭い目で睨みつけながら、すごく嫌な予感が膨らんでくるのを感じていた。
ともだちにシェアしよう!