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第130話 彼の本当の気持ち?
《ごめん、翔多くん。オレ、ずっと浩貴のことが好きだったんだ。だから浩貴と翔多くんが、つき合ってるって知って、ショックでくやしくて。嫉妬から翔多くんにはあんなことしちゃったんだ。本当にごめんね。でも、あのときに思い知った……浩貴がどれだけ翔多くんを好きなのか。それが分かったから、もうあきらめることにしたんだ》
心なしか今里の声が震えているみたいに感じた。まるで涙をこらえているかのように。
「今里くん……」
翔多は彼にどんな言葉をかければいいのか分からなかった。
《あきらめるって決めたけど、オレ、浩貴にはせめて嫌われたくないんだ。でも、もう無理かな……》
「……今里くん、どうしてそんなこと、オレに話してくれるの?」
《なにより以前のこと謝りたかったし、それに翔多くんなら、オレの気持ち分かってくれるかなって思ったんだ。……ね、翔多くん、オレ本当に翔多くんがうらやましいよ。浩貴にあんなに思ってもらえて》
「今里くん……」
翔多の胸がちくんと痛む。
……ちょっと切ないかも。
翔多は自分の目に涙が滲んでくるのを感じていた。
正直、今里の告白はすごくショックだった。
でもよくよく考えてみると、以前の今里の態度に、浩貴に対する恋心みたいなものが見え隠れしていたような気がしてくる。
……今里くんの気持ち、分かるかも。
浩貴はかっこよくて優しくて、彼のことを知れば知るほど好きになっていく。恋する気持ちはどんどん大きくなっていくんだ。
浩貴が魅力的すぎるから。それはオレが一番よく分かってる。
恋の女神様が味方してくれたおかげで、オレは浩貴と両想いになれて、本当に幸せで……そう、きっと世界一、ううん、宇宙一幸せだと思う。
浩貴のいない日々なんかもう考えられない……。
……でも今里くんも浩貴のことが好きだったなんて。なんか切なくて、それでいて胸の奥がキリキリ痛むような……なんだかモヤモヤするような……。
翔多の思考はまとまりなく、ぐるぐる回っていた。
もともと性格的に物事を深刻に複雑に思案しないほうなので、ヘトヘトに疲れてしまった。
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