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第135話 屋上での会話②

 今里の話術が巧みなのは昔からだし、一方の翔多のほうは単純というか、なんでも信じやすいというか、いい意味でも悪い意味でも物事をあまり深刻に考えない性格である。  浩貴はもう何度目か分からない溜息をつくと、翔多に問いかけた。 「翔多、おまえ、オレと今里をそんなに仲良くさせたいのか?」 「え……?」 「オレが今里とすごく仲良くなっちゃっても、平気なのかよ?」 「浩貴……」 「翔多、どうなんだよ?」  浩貴の問いかけに、翔多の大きな瞳が不安げに揺れる。 「……やだ」  小さな呟き声のあと、翔多はその黒目がちの瞳に涙を潤ませ、 「それはやだ! 絶対やだっ!! いやだっ!」  一気に感情を昂ぶらせて、浩貴に抱きついてきた。 「浩貴はオレの、オレだけのものだもん! 他の誰かと仲良くするなんて絶対にやだっ!!」  浩貴は翔多の体を受けとめて、優しく応えた。 「うん、翔多。オレはおまえだけのものだし、おまえはオレだけのものだよ。だからさ、今朝みたいにオレと今里を仲良くさせようとしないでくれ。じゃないとオレ、おまえにやきもちも妬いてもらえてないみたいで、ちょっとへこんじゃうよ」 「……浩貴……」 「翔多、好きだよ……」  浩貴は彼のサクランボのような唇に自分の唇を重ねた。  薄っすらと開かれている唇のあいだに舌を入れると、翔多も応えてくれ、二人舌を絡ませる。  何度も角度を変え、翔多の口内を貪るように犯していくと、二人の唾液が混ざり合い、あふれ、顎を伝って滴る。  深い口づけを交わしながら、浩貴は翔多の制服のネクタイを解き、シャツのボタンを外していった。  淫らに糸を引くキスのあと、唇をゆっくりと下へとすべらせていき、翔多の小さな乳首へと吸い付くと、少し強く噛む。 「いたっ……! や……浩貴、痛いよ……」 「翔多がオレと今里を仲良くさせようとした罰」  浩貴が意地悪っぽく囁くと、翔多が愛らしい唇をとがらせて、拗ねたように言う。 「そんなヘンな意味で、仲良くさせようとしたわけじゃないもん……」  その表情も声も口調もとてもかわいくて、浩貴は今度は優しいキスを乳首へ落とした。

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