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第137話 屋上での情交②
屋上を吹き抜ける風の中、翔多はイッたばかりの余韻にとっぷりと浸り、半ば放心していた。
浩貴は自らの荒い呼吸もおさまらないうちに、今度は翔多の体を抱くようにして立たせると、彼の背中をフェンスへ押さえつけた。
「……浩貴……だめ……も、ちょっと休ませて……」
翔多は途切れ途切れの声でそう言うと、絡みついてくる浩貴の体を押し返そうとする。
浩貴はそれを許さず、彼の両手もフェンスへ押さえつけた。
翔多のなめらかな肌を愛撫する唇を、少しずつ下へと這わせていき、彼のそれを口に含んだ。
途端に翔多の体が強張り、
「やっ……やだっ……浩貴、やっ……」
弱々しく抵抗してくる。
――浩貴と翔多はもう数えきれないくらい体を重ねている。
愛し合う度に二人の仲はより親密になり、セックスも大胆になった。
どこがお互いの弱い場所かということも知り尽くしていたし、感じたら、あられもなく声を出せるようにもなった。
けれども、浩貴が翔多のそれを唇で愛する行為を始めたのは、まだ最近のことだ。……翔多はこの行為にものすごい羞恥を感じるようで、抵抗してくるからである。
浩貴にしてみれば、翔多とはもう、あれもこれも色んなエロいことをしているというのに、今更という感じなのだが。
両手をフェンスに押しつけられ、昂ぶりを浩貴の唇で愛されて、翔多は幼子がいやいやをするように首を大きく左右に振って、涙をポロポロと零している。
……なんかこんなふうに泣かれたら、オレが翔多を無理やり犯しているみたいな気持ちになってくるじゃん。……でも、そういうシチュエーションも結構ソソラれるかも。
内心、こっそりそんなことを思ったりする浩貴。
けれども、翔多の涙は本当は快感の証だということを、浩貴は知っている。
本気で嫌がる翔多に無理やりなにかをすることなど、浩貴には絶対にできない。
だから本当は、翔多がとても感じていることを知っている浩貴は、舌を使い、強く吸い上げることを繰り返す。
やがて、翔多の体が小さく震えだし、そのあと一瞬強張り、浩貴の口内に愛の証の熱い液体を放った。
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