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第149話 そして……
次の日の朝、浩貴は翔多のことが心配で、いつもよりずいぶん早く彼の下宿先へ行った。
浩貴の心配は杞憂だったようで、翔多は一晩ぐっすり眠り、いつもの元気な彼に戻っていた。
自転車は学校に置いたままなので、二人は仲良く肩を並べて歩いて登校した。
その日、今里は休みだった。風邪で休むと担任に連絡が入ったらしいが、プライドの高い今里のことだ。昨日、浩貴に殴られたことが屈辱だったのだろう。
土曜日だったので授業は午前中だけで終わり、放課後、浩貴と翔多は最近お気に入りのファストフード店で昼食をとることにした。
ハンバーガー二つにポテトフライ、サラダとデザート食べ放題という『大満腹セット』をそれぞれ注文し、奥の席に座る。
一つ目のハンバーガーを食べ終え、サラダのおかわりを食べながら、浩貴は翔多に聞いた。
「……なー、翔多。おまえまだ、今里はオレのことが好きだって思っているのか?」
「……んー……」
プチトマトをフォークで突き刺しつつ翔多はしばしうなっていたが、やがてぽつりと呟いた。
「正直言うと、よく分かんない。……でも」
「でも?」
「浩貴は違うって言うんでしょ? 今里くんはオレを狙ってるんだって。だから今里くんには近づかないで欲しいって、そう思ってるんだよね?」
「ああ」
「じゃ、そうする。今里くんとは距離を置く。オレは浩貴が誰よりなにより大切だから、浩貴の言うことを信じるよ」
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