150 / 177

第150話 そして……②

「翔多……」  恋人の甘い愛の言葉に、浩貴が照れながらも感動していると、 「オレは浩貴の恋の奴隷だもんー。身も心も浩貴だけのものっ!!」  満員の店内に響き渡る大きな声で、翔多は続けてそう言ってのけた。  一瞬の沈黙のあと、店内の客と店員たちの視線が浩貴と翔多に集まる。  好奇の目で見られまくり、まさに穴があったら入りたい状態だった。 「……あ」  翔多が、つい大きな声が出ちゃった、というふうに自分の口元を両手で押さえて、浩貴のほうを見る。 「…………ごめん……」  押さえた両手の下から、極まりが悪そうな声で謝りの言葉を口にした。 「まったく……」  周囲から痛いくらいの視線を浴びながら、浩貴は大きく溜息をついた。  だが、実際のところはその大胆な告白が結構うれしかったりもして……。  そんなこんなで恥ずかしい思いもしたが、デザートまでしっかりとおなかいっぱい食べた二人は、これからそれぞれの自宅と下宿先へ帰り、またすぐ落ち合う。  そう、いつものホテルに向かうために。  二人が我を忘れてお互いに溺れ、一つになり、存分に愛し合える場所へと――。 

ともだちにシェアしよう!