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第154話 衝撃②

「ふん。そう来ると思ってたぜ。……でもな、園田、証拠はあるんだよ」  厭な笑みを顔に貼りつけたまま、谷川は制服のポケットからスマートホンを取りだし、操作を始めた。  そして、スマートホンを浩貴のほうへ向ける。  目の前に突き付けられたものを見て、浩貴は慄然とした。  スマートホンの画面いっぱいに映し出されていたのは、浩貴と翔多の情交の動画だった。  浩貴の腕に抱かれる翔多。一つに繋がっているその部分まで、はっきりと映っている。  谷川は動画をとめると、勝ち誇ったような顔で浩貴を見た。 「どうだ? これでも証拠はないって言うか?」 「……卑怯だぞ……!」  浩貴はどうにかその言葉だけを絞り出した。 「なにが卑怯だよ? オレはありのままを動画におさめただけ。……でも安心しろよ。まだ誰にもこれは見せていないから。あとはおまえ次第だよ、浩貴クン」 「…………」  怒りとショックのあまりもう言葉も出ない浩貴。  谷川は下卑た笑みとともに言った。 「こんなのオレの仲間らが見たら、どうなるかなぁ……? いつも、ヤりてーヤりてーってばかり言ってるやつらだから、翔多クンのことを犯しに来るかもよー?」 「――――っ!」  気づけば、浩貴は谷川に殴りかかっていた。谷川の顔面を浩貴の拳が直撃する。  浩貴の拳を食らい、倒れ込みながらも、谷川は薄笑いをやめない。切れて血が出た唇を手で拭うと、ふらりと立ち上がり、浩貴へ指を突き付けた。 「一回だけ翔多クンとヤらせてくれたらいいんだ。そしたら、おまえらの動画は消してやるし、コピーも取らない。そんなに悪い取引ではないと思うけど?」 「てめぇ……」  浩貴はみたび谷川に殴りかかったが、今度は寸前でかわされてしまった。 「今度の日曜日の朝十時に、T公園の奥にある人なし沼に翔多を連れて来い」 「誰がおまえの言うことなんか聞くかよ……!」  浩貴は声を振り絞った。 「オレの命に代えても、翔多に手出しはさせない」  浩貴の殺意と言ってもいいくらいの憎悪の波を受けても、谷川はひるまない。 「今度の日曜日、朝十時、人なし沼だ。分かったな? 園田」  もう一度そう言い捨てた。

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