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第156話 守りたい

 浩貴がうそをついたり、隠しごとをすれば、すぐに分かる。  翔多は彼の恋人として、その自信があった。  谷川と話をした日から後、浩貴の様子がおかしい。  浩貴はなんでもないと言い、谷川の話がどんなものだったのか、教えてくれないが、彼の様子は絶対に変だ。  あの日、浩貴は約束通りケーキを買ってくれ、いつものように翔多の下宿先へ来た。  けれど、どこか上の空だったし、ケーキにもまったく手をつけなかった。  浩貴は翔多ほどではないが、甘いものが大好きだ。なのに……。  それに昨日の土曜日、いつものホテルのデラックス・ツインの部屋での逢瀬も、いつもの浩貴と少し違った。  濃密に愛し合うというのは同じだったが、浩貴は翔多にすがりつくように抱きしめてきたのだ。  うまく言えないが、抱くというより抱き縋るというような言葉が、ぴったりくるような……。  そのくせ突き上げてくる激しさはいつも以上で、翔多は何度も気を失いかけた。    あっ、ダメだ、ダメだ……。  めくるめく愛の行為を思い出すと、翔多の体が自然と熱くなってきて、慌ててそれを抑える。  そして立ち向かうべき敵のことを考える。  敵とは勿論、谷川だ。  あいつはきっと浩貴に言いがかりをつけてきたのに違いない。浩貴が人気者だから妬んで……!  昨夜、別れるとき、浩貴は言った。 『明日は家族で出かけなきゃいけない用事があるから、会えないんだ。ごめんな』  でもあれはうそに決まっている。  本当はきっと谷川に呼び出されるとかしてるんだ。  翔多は握りしめた拳にグッと力を入れた。  オレが浩貴を守ってやるんだ……!

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