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第161話 戦い③

「翔多!?」  翔多の突然の登場に、浩貴が大きく目を見開いて驚いている。  その隙を狙って、谷川が浩貴に拳を食らわせようとしているのが見えた。  翔多は出せる限りの力で走った。  浩貴を殴らせは――、 「させないっ」  翔多はそう叫ぶと、浩貴と谷川のあいだへ飛び込んだ。    ゴンッという音と、頭にすごい衝撃。  翔多の視界がチカチカと点滅する。  そのまたたく視線の先に、谷川の上着のポケットに入っているスマートホンががあった。  翔多は力を振り絞って腕を伸ばすと、谷川のスマートホンを取りあげ、人なし沼へ投げた。  ボチャンッという音を立てて、スマートホンが沼に沈んでいく。  そこで翔多の記憶はとぎれた。  ――なにが起きたのか、分からなかった。  突然、翔多が現れたかと思うと、浩貴と谷川のあいだに飛び込んできた。  ゴツッと鈍い嫌な音がし、それと同時に翔多の手が谷川のスマートホンを取りあげ、人なし沼へ放り投げた。  ……これらの行動がわずか数十秒のあいだに起き、そして翔多は浩貴の腕の中へと倒れ込んできた。 「翔多っ!?」  情けない話だが、このときになって初めて浩貴は、翔多が自分をかばって谷川に殴られたことに気がついた。  谷川の拳は翔多の頭部に当たったらしく、浩貴の腕の中で彼はぐったりして気を失っている。 「翔多っ……翔多っ!!」  必死になって呼びかけても、反応がない。

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