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第174話 事件の説明③

「あ、ちょっと話が逸れた気がする。……で、谷川はそのスマホの動画をネタに浩貴を脅してきたっていうわけ?」 「……ああ。動画を拡散されたくなければ、その、翔多とエッチさせろって言ってきやがったんだよ、あの下衆野郎……!」  あのときのことを思い出すと、今でも腹がフツフツと煮え立つ怒りを覚える。 「げー!」  翔多のほうも心底嫌そうな顔をしている。 「それで、日曜日に、人なし沼におまえを連れて来いって言われて。そしたら動画は消すし、コピーもとらないって……」 「……そういうことだったんだ……。もー、浩貴、どうしてすぐにオレにも話してくれないんだよー。二人して相談して谷川に立ち向かえばよかったじゃん」  翔多が少し怒ったように浩貴をにらむ。 「……ごめん……。でもオレ、おまえを危険な目には遭わせたくなくて。だから絶対に谷川をのして、あのスマホをぶっ壊してやりたかったんだ」 「そんな動画なんか無視しちゃえばよかったんだよ。今の時代、いくらでもそんなもの合成で作れるから、なんの証拠にもなんないって、言ってればよかったのに、谷川のやつに」  翔多はそう言うが、実際動画を見た浩貴にしてみれば、そんな単純な問題ではない。 「本当にしているところを撮られているわけだから、当たり前だけど、とても作ったものという反論は通りそうになかったよ」 「この際、そんなことはどうでもいいの! 浩貴があくまでも否定し続けたら、誰も谷川の言うことなんて信じないんだから。オレたちがエッチをするような仲なんてことあるわけないって、言い切って、無視しちゃえばよかったんだよ」  翔多のこの意見には、浩貴はきっぱりとかぶりを振った。 「オレ、翔多とのことでは、うそをつきたくない」 「……え?」 「大々的に言いふらすことでは勿論ないけど、うそはいいたくない。だってオレは本当におまえを愛してるんだから……」

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