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第175話 激しい交わり

「浩貴……」 「……でも、ごめんな、翔多。結局はおまえにケガをさせちゃったな……」  そっと翔多の頭を撫でる。痛みはもうほとんどないらしい。 「これはオレが勝手に飛び込んでドジっただけだもん。浩貴はまったく悪くないよ」  翔多は強い口調でそう言うと、浩貴に抱きついてきた。 「浩貴、好き、大好き……、どうしようもないくらい大好き……!」 「翔多……」  翔多が愛しくて胸が詰まる。  浩貴は翔多の小さな顔を両手で包み込むと、ゆっくりと唇を重ねた。  二人の息が溶け合い、舌を絡ませながら浩貴は翔多を抱き上げ、広いベッドへと降ろした。  翔多の着ているジップアップのパーカーをゆっくりと開いていきながら、浩貴は彼の唇から頬へ、それから耳元、首筋へと嚙みつくようにして、そのなめらかな肌を味わう。 「浩……貴……」  翔多の唇から甘い吐息が零れ始める。  浩貴はもう一度、彼の唇へと戻り、深いキスを交わした。  浩貴の心が翔多への愛しさと、これから交わされる愛の行為のため、どんどん昂っていく。  そのとき突然、甘美な思い一色に満たされていた心に、水をさすものが入り込んできた。  それは、日曜日に谷川が翔多に触れたときの、忌まわしい記憶。  ……翔多のこの綺麗な肌に、あの下衆野郎は触れやがった。  谷川に対する激烈な怒りと、翔多に対する狂おしいまでの独占欲が浩貴の中で弾け、それまで以上の激しさで愛しい人の体を愛撫し始める。  

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