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第11話
「んっ…うぅ」
表面を撫でられ、悠太郎は心地悪そうに体をひねる。客はしばらく撫で続けていたが、ある拍子に、その太くて大きい指を挿入れた。
「はぁっ…あぁ…くる、し…」
悠太郎は片手で口元を当てながら、膝を曲げ、人生で一度も感じたことのないであろう悦びを感じていた。
客はとにかく穴を慣れさせるためにと、指の出し入れを繰り返し始めた。指が抜かれる度に、穴が引き締まる。その様子が何ともいやらしかった。
「ようし…指を増やしても、問題ないな?」
そう言うと、客は悠太郎の小さな穴に、太い指をもう一本入れたのだった。
「うっ…ふぁ…!」
痛いのか、あるいは困惑しているのか、悠太郎は先ほどよりも大きくもがきだした。客はそんな悠太郎を見ながら、下劣な笑みを浮かべる。
「悠太郎さん…ここ、どうだい?」
「ふぅ…っ、ひぃぁっ!?んっ…ああっ…!」
悠太郎の声が大きくなったのが分かった。客は指を曲げており、どこかを中心的に押しているらしかった。
もしかして、もしかして。…前立腺を、押している…のか?
それが分かった瞬間、つま先から頭の先まで興奮してしまうのが分かった。可愛い。悠太郎に挿入れたい。その気持ちで溢れた。
「悠太郎さん…初めてでこんなにも気持ち良くなるなんて、エッチな体してやがるぜ…」
「うぁっ…やっ、んぅ…!くっ、くるぅ…何か、くるぅ…!」
悠太郎の足が震える。ふと悠太郎のアレを見てみると、先から透明な液体が出ているのが分かった。…先走りだ、本当に可愛い。
僕はそんな悠太郎を見ながら、うっとりしてしまった。悠太郎が客によってもたらされる快楽を受け止め、悦んでいる姿が、とても美しかった。
「うっし、…挿入れるか。もう待ちきれん!」
客は高揚した様子で服を脱いでいった。そして勃っている小汚いソレを、悠太郎の穴に押し当てる。
「んっ…は、はいらにゃい…からぁ…」
酔いも完全に回っているのか、呂律が回っていない。目をうとうとしながら、それでも穴をヒクヒクさせる悠太郎は、かわいらしかった。
「行くぞ!」
「あっ…くぅ…っ、んん…!」
苦しそうな表情。それさえも気にせず、客はどんどん奥へと挿入れていく。まるで、悠太郎が初めてだということを忘れているかのように。
僕は無性に腹が立ったが、同時に、悠太郎の全てがいやらしく見えてきてしまっていたのだ。そんな僕に嫌気が差しながらも、考えを改めることなどできなかった。
客のソレは、ついに奥まで入ってしまった。客は気持ちの悪い顔で笑うと、運動し始める。ソレが前立腺を擦って気持ち良いのであろう、悠太郎は甘い声を漏らした。
「んっ…はぁっ…ひぅっ…うぁ…っ、やぁ…」
身をよじりながら、苦しそうにも悦んでいるようにも見とれる顔をする。僕はそれを見ながら、今悠太郎の中に入っているモノが僕のモノだったら良いのに、と思った。
「はぁ…はぁ…悠太郎さん…」
客は鳥肌が立つような呼吸をしながら、悠太郎をいやらしい目つきで眺める。悠太郎は客と目を合わすと、客の名前を呼んだ。
「は、はるひしゃ…さぁん…もっ、もう…たえられないってぇ…!」
涙ながらに言うその言葉を聞いて、客は嫌というほど口角をあげ、笑った。どうやら優越に浸っているようだ。
「そうか、そうか。そんなに気持ち良いんだな。じゃあ悠太郎さんのためにも、イかせてやろう」
そう言うと、客は更にスピードを上げていった。客が奥を突く度、悠太郎の甘い声があがる。
「あっ、あぁ!やっ…んぁ…っ、うあっ…ひ…んっ…あっあっ…っ、んんっ…!」
僕は気がつけば、僕のアレに手をのばしていた。僕は客のアレを僕のアレに見立て、頭の中で悠太郎を犯していたのだ。
僕は確かに女性経験がある。むろん、いつか悠太郎と結ばれる日のためにと、男経験もあった。だがその記憶の中でもダントツに、目の前の悠太郎が好き。可愛い。いやらしい。犯したい。気持ち良くしてあげたい。
そんな汚い感情に支配されながら、僕は自分のモノを扱いた。悠太郎が跳ね上がる度、僕も興奮する。それは客も同様であった。
客は今まで一番早いスピードに移行した。悠太郎は気持ち良さそうな顔をして、ベッドシーツを握る。悠太郎は、いつイってもおかしくはなかった。
「あっ…はぁっ…、ぇうっ…ひぅっ…っ、あっ、やっ…っ!あっ♡んぁっ♡っい…♡」
悠太郎の体が小さく痙攣する。その様子が美しくて、見とれてしまう。
「ふぅ、ふぅ…俺も、イっちまいそうだねぇ…っ!…はぁ…♡はぁ…♡」
客のスピードがゆっくりになる。客はある地点で完全に止まると、ソレを勢い良く抜いた。拍子に、悠太郎の体が飛び跳ねる。
穴から、とろりと白い液体が垂れてきた。それは、他でもない、この小汚い男の物であった。
僕は自分のモノを見てみる。握っていた手には白い液が付着しており、僕のモノも脱力していた。…気づかない内に、僕も出してしまったのだ。
「ふぅ…マスターさん、お前さんもヤるかい?」
客にそう尋ねられ、はっと我に返った。慌てて首を横に振り、丁寧に断る。僕はまだ、悠太郎に触れてはならないのだ。欲に負けていられるものか。
「遠慮させていただきます。ですが、その代わりとして、僕が悠太郎を家まで送りましょう。」
そう提案すると、客は笑った。
「そうかい。じゃあ俺はもう帰るかねぇ。これ、ホテル代だ。じゃあな。」
客はそう言うと、ベッドの上に一万円札を置くと、着替えてすぐさま部屋から出て行った。僕は意識が飛んでしまっている悠太郎を見て、ぼうっとしていた。
「――――っあ!」
そして僕は、とても大切なことに気づいてしまったのである。
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