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LIVEの日(2)

リハーサルが終わり… 僕らはライブハウスの近所のファミレスに行った。 しっかりハイボールを4つ頼んで、 僕らは乾杯した。 「お疲れー」 「まだこれからだけどな」 「リハの打上げねー」 しばらくすると、ハルトとショウヤがやって来た。 「お疲れー、リハどうだった?」 ハルトが訊いてきた。 「それがさー」 サエゾウが早速面白がって報告した。 「カオルがね、全然だったんだよー」 「そりゃーリハで全開にしたらヤバいでしょ」 「えーなんだよ、分かってなかったの俺だけ?」 「あはははっ…」 何でハルトさんまでそこ納得済みなんですか… ひとしきり食事も酒盛りも済んだところで、 カイが言った。 「そろそろ戻ろうか…」 「そーだね、準備もしないと」 V系のバンドは、 本番前のメイクとか色々に時間がかかるからね。 そして僕らはライブハウスに戻った。 既に最初のバンドが始まっていた。 会場の外のドリンクカウンターの前のスペースに、 数人の女子が立っていた。 「あー来てくれたのー?」 サエゾウが、彼女たちに声をかけた。 「あっ…おはようございます…」 彼女たちは、少し恥ずかしそうに、でもすごく嬉しそうに言った。 「いつもありがとうねー」 カイとシルクも寄っていった。 ファンの子なんだな…! すげーみんな、営業スマイルになってる… 僕は、残念ながら…ファンっていう経験がないので どうしたらいいか分からなかった。 彼らが彼女たちと話ししてる様子を、 ただボーッと見ていた。 と、カイが僕を手招いた。 僕がちょっと近づくと…カイは僕の肩に手を回し、 そのままぐいっと、彼女たちの前に、 僕を羽交い締めの状態で立たせた。 「これ、新しいボーカルのカオル、よろしくね」 「きゃー」 「…尊い…」 彼女たちは、何やらとても嬉しそうだった… 「そのまま写真撮っていいですか?」 「どーぞ」 彼女たちはスマホを僕らに向けた。 あーなるほど… 腐女子向けのファンサービスですね… 「じゃあ、ごゆっくりねー」 「楽しみにしてます!」 そして僕らは、裏の楽屋へと向かっていった。 「すごいですねーホントにファンが来るんだ…」 「あの子たちは、すごく前から来てくれてるから、カオルも、顔覚えといてね」 「あ…はい」 そーいうとこ、真面目なんだな… そして僕らは楽屋に入った。 絶賛準備中の2番めのバンドさんの… 邪魔にならない隅の方で、 僕らもボチボチメイクを始めた。 ハルトが僕の顔を描きながら言った。 「本番までには、たぶんもっといっぱい来るよ」 「はあ…」 「みんな、新しいボーカル気になってるからねー」 「…はあ…」 だからそういうプレッシャーやめてください。 「度肝を抜いてやったらいいわ」 「…」 そうこうしているうちに、最初のバンドが終わった。 「お疲れ様でしたー」の声が飛び交い… 汗だくで機材を抱えて撤収してくるメンバーと、 これからセッティングに向かう2バンドめのメンバーとが入り混じり… 楽屋は一時、騒然となる。 捌けてきたメンバーが、自分の機材の整理を終え、 2バンドめの演奏が始まる頃には、 楽屋には、僕らメンバーだけになった。 それでも、また最後のバンドの人たちが、早めの準備に来るかもしれないので、 僕らも、そのための一角を空けておく。 なんとなくそれが、V系イベントのときの、 暗黙のルールみたいになっていた。 そして僕らは、本格的な準備に入った。 衣装は、今日も他の3人は、黒で… 撮影会のときと、イメージは同じ感じだった。 さすがにカイは、スーツでは無かったが… 僕は今回は、ハルトさんに任せていた。 「…」 嫌な予感は的中した。 彼は先日の撮影会のときの… 例のスケスケワンピースを持ってきた。 「あーこれですか…」 「うん、やっぱ最初はこれで推したらいいと思う」 「下…さすがに脱がなくていいですよね…」 「勿体ないけどねー」 今回は、短い黒いレギンス的なのを履いた。 それでもパッと見は、素足に見えるな… 「お疲れー失礼、端っこ、いい?」 最後のバンドの… 例のサエゾウの知り合いのギタリストが入ってきた。 「どーぞー」 彼は、出来上がった僕をマジマジと見て、言った。 「へえー前の子とは、全然イメージ違うね」 「…はあ」 「違うけど、すげー良いと思う」 「…ありがとう…ございます」 「本番観れないのが残念だわ…」 そう言って彼もまた、一角に自分の荷物を広げて メイクをし始めた。 コンコン… 「失礼しますー」 ショウヤが入ってきた。 彼は、缶ハイボールの入った袋を そこら辺にドサっと置いた。 「さんきゅー」 サエゾウは、それを取り出して、皆に配った。 「じゃ、本番頑張りましょ」 カイがそう言って缶を開けた。 「乾杯ー」 「にゃー」 「…」 僕も開けた。 割と一気に半分くらい…飲んだ。 「緊張してる?」 シルクが訊いてきた。 「…そりやーもう…」 僕は答えた。 「いいんじゃん?緊張したカオルも可愛いと思うよ」 シルクはしれっと言った。 「…っ」 そんな中… カイが、ハルトとショウヤにこっそり言った。 「本番終わったら…すぐ裏からステージに来て」 「…?」 「俺らはすぐ外に出なきゃいかんから…本番直後のカオルの処理は、お前たちに任せる」 「あー了解」 「ええっ…いいんですか?!」 ショウヤは目を輝かせた。 カオルの処理?! って、それなんですかー

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