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第4話

 放課後、真は一人で廊下を歩いていた。  玄関に向かう途中、廊下の向こうで佐野が二人の可愛い女子生徒と話している姿が目に入る。  それは以前からよく見かける光景だった。  佐野はモテる。女の子の方が、佐野に寄っていくのだ。  真がもし、女だったら。母に似て美少女だったら。佐野が女の子にモテモテのように、真も男にモテモテだったのだろうか。常に男を侍らせ、精気も食べ放題。そんな状態だったかもしれない。  想像してみるが、あまりにも現状とかけ離れていて想像すらできなかった。  佐野だけではなく、今井と上原も女子の人気は高い。ただ、今井は目付きが悪く口調も乱暴なので、佐野のように女の子は気軽に近づけないのだ。そして上原は硬派なイメージで女子が近づきにくい空気を纏っている。  だから同じようにモテていても、今井と上原が佐野のように女の子と楽しそうに話しているところは見たことがない。  でもモテるのは事実で、女の子に呼び出されている姿を見かけたこともあった。  そんなことを考えていて、ハッとなった。  三人はモテる。だから、彼女の一人や二人、いてもおかしくはない。  自分はひょっとして、恋人のいる相手を誘惑して、セックスして、精気を奪っていたのではないか。  その可能性に思い当たり、愕然とした。  もしそうだとしたら、三人にも、三人の彼女にも、あまりにも申し訳ない。  どうしてもっと早く、その可能性に気づかなかったのだろう。  今すぐにでも確認しなくては。もし彼女がいたとしたら、謝っても謝りきれない。  罪悪感に押し潰されそうになりながらも、足を動かす。  佐野はまだ女の子と話していて声はかけられないので、先に他の二人に確認することにした。どこにいるのか、まだ学校に残っているのかもわからないが、とりあえず麻雀部の部室へ向かう。  その途中、今井の姿を発見し、急いで駆け寄った。 「今井くんっ」  背中に声をかけると、今井は振り返った。 「真? どうした?」 「あ、あ、あの、僕、今井くんに、大事な話があって……っ」  蒼白な真の顔を見て、今井も表情を固くする。 「来い」  今井に手首を引かれ、近くにあった空き教室に入る。  しっかりとドアを閉めてから、今井は改めて真と向き合った。 「なにがあった?」 「な、なにもないんだけど……ただ、僕、今井くんに訊かなきゃいけないことがあって……」  今井は怪訝そうに眉間に皺を寄せる。 「ほんとは、もっと早く訊かなきゃ駄目だったのに、僕、全然、気づかなくて……今更だってわかってるけど、でも、これ以上間違いをおかすわけにはいかないから……」 「っ……」  泣きそうになっている真を見て、今井の表情に緊張が走る。  真はごくりと喉を鳴らし、遂にその質問を口にする。 「今井くん、今、恋人いる……?」 「…………あ?」  今井は思い切り顔を顰めた。  今更確認されて、怒っているのだろう。しかし確認しないわけにはいかない。彼の口からはっきりと真実を教えてもらわなくては。 「今井くんともう何回も、あんなことしちゃって、訊くのが遅すぎるって自分でもわかってるけど……ほんとは、最初に確認しなきゃいけないことだったのに、全然、今井くんに彼女がいるだなんて、考えもしてなくて……ぼ、僕が、誘惑、したから……そのせいで、今井くんも、今井くんの恋人も傷つけることに……」 「だー!! 落ち着けよ!」 「で、で、でもっ」 「いねーよ、彼女なんてっ」  声を荒げ、今井は言った。  その言葉に、込み上げていた涙が止まる。 「ほ、ほんと?」 「ああ」 「彼氏も?」 「いねーっつの!」  はっきりと断言され、真は心から安堵した。  安心したら、また涙が込み上げてきた。 「よかった……。僕、今井くんに恋人がいたらどうしようって……すごく怖くて……」  ぐずぐずと鼻を啜る真に、今井は何故か照れたように頬を赤くしている。 「そんなに、嫌なのかよ……俺に、恋人がいたら……」 「嫌だよ、絶対っ」  断じて真に寝取り趣味はない。寝取られるのも寝取るのも耐えられない。  声を大にして言うと、今井はなんだか嬉しそうに僅かに頬を緩めた。 「そう、かよ……」 「うんっ」  よかった。今井に浮気者の汚名を着せることにならなくて。しかも浮気相手が地味で平凡な男だなんて、もしいたとしたら恋人に申し訳なさ過ぎる。  晴れやかに笑う真に、今井は唇を重ねた。  不意打ちのキスに、真は目を丸くする。  戸惑い、思わず顔を離せば、今井の表情は険しくなる。 「嫌なのかよ?」 「ううん! 嫌じゃないよっ」  ぶんぶんと首を横に振る。  嫌ではないが、どうして突然キスされたのかがわからない。 「だったらいいだろ」 「でもっ……んン……っ」  わからないまま、再びキスされてしまう。  唇を、はむりと食まれる。柔らかく歯を立てられ、本当に唇を食べられているような感覚だ。 「ふぅっ、んっ、んっ」  今井は一頻り唇を味わったあと、口内に舌を差し込んできた。  上顎を舌で擦られ、ぞくっと体が震える。口の中を蹂躙するかのように、隅から隅まで舐められ、貪り尽くされた。 「ふあっ、んん……んぅっ」  足がふらついてよろめけば、背中にドアが当たった。  ぐっと今井の体が近づき、ドアと今井に挟まれた状態で、何度も角度を変えてキスをされる。  甘くて美味しい口づけに、真は陶然となった。  動き回る彼の舌にちゅっと吸い付けば、体を強く抱き締められる。  一層深く唇が重なり、伸ばした舌が今井の口の中へ引き込まれ、じゅるじゅると音を立てて強く吸い上げられた。  粘膜が触れ合う感触が気持ちよくて、真の体はすっかり火照り、発情していた。 「ぁっ、も、だめ……」  息継ぎのタイミングで、もう駄目だと訴える。  唾液でべとべとに汚れた真の唇を、今井が舐め上げた。 「あ? ダメじゃねーだろ」 「でも……キス、されると、僕……我慢できなくなっちゃうから……」 「なにを我慢できなくなるんだ?」  今井の舌が唇から顎を伝い、首筋をつうっと辿る。  背中がぞくぞくして、頭がぼうっとして、下半身がじくじくと疼いた。 「今井くんの、おちんちん、欲しくなっちゃうの……」 「っ……淫乱が」 「ごめっ、なさぃ……」 「別に責めてねーよ。言っただろ、チンコ欲しくなったら言えって。いつでも嵌めてやるから」 「ぅんんっ」  またキスをされる。先程の貪るような激しいキスではなく、甘やかすような優しいキスに、真はとろとろに溶かされる。自分からも舌を伸ばして、彼の舌に甘えるように摩りつけた。  口づけながら、今井の手がシャツの上から真の乳首に触れる。 「ンあっ、ん、ぁんんっ」  布越しにカリカリと爪の先で引っ掛かれ、もどかしいような快感にびくびくと体が跳ねた。 「っは……ちょっと弄っただけで、乳首勃起させやがって」  今井の熱っぽい視線が胸元に突き刺さる。  つられるように真も視線を落とせば、弄られた片方の乳首が服の上からでもわかるくらいに膨らんで存在を主張していた。  恥ずかしい光景に、サッと頬が赤く染まる。  もう片方も同じように爪で刺激され、すぐにそちらも尖り、ぷくりとシャツを押し上げた。 「エロ……」 「はぅんっ」  両方の突起をぎゅっと摘ままれ、痛いような快感が走り抜ける。衣服が擦れる感触に、乳首がじんじんと熱を帯びていく。  布越しの愛撫がもどかしくて、無意識にねだるように胸を突き出していた。  気づいた今井が、意地悪く笑う。 「自分から擦り付けてきて……物足りないのか?」  恥じらいながらも否定する余裕はなく、真は素直に頷く。 「ふぁっ、うん、直接、触ってほしくて……っ」 「なら、自分でシャツ捲れよ」  羞恥で耳まで真っ赤に染め、真はシャツを捲り上げた。色づき膨らんだ乳首を今井の目に晒す。 「で? どうしてほしいんだ?」 「っ……指で、弄ってほしい……」 「どんな風に?」 「さ、先っぽ、撫でて……」 「こうか?」  今井の指の腹が乳頭を優しく撫でる。 「んあぁっ、あんっあっあっ」 「それから?」 「あっ、あぅっ、ぐりぐりって、押し潰して、あっあっあっ」  ぐりっと、勃起した乳首が乳輪に押し込まれる。 「あとは?」 「はぁんんっ、な、舐めて、ほしいっ、舌で、乳首、弾いて、ちゅって、吸ってほしいのっ」  恥ずかしいのに、はしたない要求が口をついて出るのを止められない。  頬を紅潮させた今井が、真の胸に顔を寄せる。 「はっ……お前ほんとエロいな」 「ひああぁんっ」  ぱくりと乳輪ごと口に含まれた乳首が、音を立てて吸われる。  快感が走り、びくびくっと体が跳ねた。  片方の乳首を舐めしゃぶられ、もう片方を指でぐにぐにと押し潰される。 「んあっ、あっあっあンッ」  真の口からは絶えず甘い声が漏れ続けた。  ぶるぶる震える真の下半身に、今井の空いた手が伸ばされる。 「あッ……」  止めるまもなくベルトを外され、下着とズボンをずり下ろされ、ぷるりと飛び出したぺニスを握られた。 「ひあっ、だめ、だめぇっ、今井く、触っちゃだめっ」 「お前、人のチンコは躊躇いなく触るくせに、自分のは触られるの嫌がるよな」 「あっ、嫌、な、わけじゃない、けど……んんっ、触ったら、手、汚しちゃうから……っ」 「確かに、もうぬるぬるだな」 「あぁっ、あっあっあっあぁんっ」  先端の割れ目をぬちゃぬちゃと擦られ、痺れるような快感に身悶える。  新たな蜜がとぷりと溢れ、今井の手を更に汚してしまう。 「あっ、らめ、あっあっ」 「ダメじゃねーだろ、感じてんだから」 「汚れちゃ、からぁっ」 「変なこと気にしねーで、イイならイイってよがってろ」 「ひゃあぅんっ」  乳首を弄っていた手も下肢に移動し、両手でぺニスを刺激された。  先端を撫でながら上下に擦られ、がくがくと腰が揺れる。 「ほら、イイんだろ?」 「あっ、いいっ、きもちいいっ、あんっ、今井くんに、おちんちんくちゅくちゅされて、きもちいいよぉっ」 「はっ……こっちもすげ、ぬるぬる」  今井の指がアナルに触れた。そこは体液を分泌させ、入り込んでくる彼の指を嬉々として飲み込む。 「あっあっあんっ、今井くんの、ゆび、きもちいいっ」  ぺニスを扱かれ、後孔をぐちゅぐちゅと掻き回される。  真は背中をドアに預け、震える足でどうにか体を支え、与えられる快楽を享受する。 「ひぁっ、あっ、らめっ、いっちゃ、から、あっ、手、離してぇっ」 「イけばいいだろ」 「んゃっ、やっ、今井くんの、おちんちん、入れてほしいっ」  今井のズボンは大きく膨らみ、中で勃起しているのがわかる。  彼の欲望が伝わってきて、真の体はそれが欲しくて堪らなくなっていた。早くそれを体の内に埋めて、精気を味わいたい。 「奥まで入れて、いっぱい、ずんずんしてほしいっ」 「っくそ、煽りやがって」  今井は切羽詰まったように指を抜き、真の体を回転させた。  真はドアに手をつき、腰を突き出すような体勢になる。  双丘の狭間に、熱くて硬い肉棒が擦り付けられた。  真は自然と脚を開き、早くと訴えるように開閉するアナルを晒す。  するとぐちゅりと亀頭を押し付けられ、そのまま一気に肉棒を埋め込まれた。 「あああぁっ」  ずぷんっと楔で中を貫かれる快感に、真のペニスから精液が噴き出した。  ドアや床に白濁とした体液が飛び散るのを見て、後で拭かなきゃ、と頭の片隅で考える。  そういえば、今井にコンドームを使ってもらうのを忘れていた。  しかしそんなことを考えていられたのも一瞬で、すぐに思考は快楽に塗り潰される。  いったばかりの敏感になった肉筒を剛直で激しく突き上げられ、真のあられもない声が教室内に響いた。 「あっあっあっ、ひっ、あぁっ」 「はあっ、入れただけで、イったな、そんなに、チンコ嵌められて、気持ちよかったか……っ」 「気持ち、いっ、あっあぁんっ、中、おちんちん、いっぱいで、きもちいいっ」 「ここ、擦られんのが、イイんだろッ」 「んあぁっ、いいっ、そこ、ごりごり、されるの、あぁっ」  硬い亀頭で前立腺を押し潰すように擦られ、目も眩むような強烈な快楽に襲われる。 「はっ、奥、突かれんのも、好きだよな……っ」 「ひあぁっ」  ごちゅんっと奥まで陰茎を突き入れられた。そのまま腰を振り立て、内奥を何度も突き上げられる。 「ああぁっ、あっ、しゅきっ、奥っ、あっあっ、きもちいっ、奥まで、いっぱい、ひあっあっ」 「どっちが、イイ?」 「あっあっ、どっちもっ、いいのっ、あんっ、おちんちん、中で、いっぱい、動くの、好きっ」 「はあっ……淫乱」  ぎゅうっと背後から今井に抱き締められる。  熱い舌に耳を舐められ、甘噛みされ、ぞくぞくっと肌が粟立った。  片手で乳首を引っ張られ、もう片方の手でぺニスを擦られる。  耳と乳首とペニスと後孔をいっぺんに刺激され、真は涙を流してよがり声を上げた。 「あっあっあっ、らめっ、そんな、たくさん、されたら、あっ、あんっ、きもち、よすぎて、おかひく、なっちゃ、あっ、ひっ、んんっ」 「おかしく、なれば、いい、だろ……ッ」 「あんんっ」 「俺が、毎日、チンコ、嵌めてやるからっ、おかしく、なれよっ」 「あっあっ、あぁっ、はひっ」  耳に直接吹き込まれる彼の言葉に、悦ぶようにぞくぞくと体が震えた。  ペニスとアナルからだらだらと蜜が零れ、結合部はぐちょぐちょに濡れている。動きに合わせ、粘ついた水音が聞こえてくる。 「はんんっ、あっあっ、いくっ、また、あっ」 「イけよ……は、俺も、イくっ、はあっ、お前の中に、出すからなッ」 「んひっ、ぁんっ、らして、僕の、なか、あっあっ、奥に、いっぱい、今井くんのっ、だしてぇっ」 「っく、真っ……はっ、イく……っ」 「んあっ、あ────っ」  びゅるびゅると熱い体液を胎内に浴びせられ、真もまた精液を吐き出した。  たっぷりと注がれたそれを腸壁に塗りつけるように、陰茎が中を擦り上げる。 「ふあぁっ、気持ちい……」  精気が身体中に染み渡っていくような快感に、真は恍惚とした表情を浮かべた。 「真……」  今井に抱き締められ、彼の体温に全身を包まれる。心地好くて、うっとりと目を閉じた。  今井に恋人がいなくてよかった。もしいたら、もう二度と彼に抱いてもらうことなんてできない。  想像して、胸が切なく痛んだ。  恋人がいなくたって、本当なら、彼にこんなことさせちゃいけないのに。  それなのに、この温もりを感じられなくなったらと思うと苦しくなる。  真はそっと、自分を抱き締める今井の腕に触れた。  後日、佐野と上原にも確認したところ、二人にも恋人はいないと言われて真は深く安堵した。

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