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第5話
今日は午前中で授業が終わった。放課後、真 は麻雀部の部室にいた。部員の三人と関係を持つようになってから、たまにこうして部室に呼ばれることがある。
真はソファの真ん中に座り、両隣には今井と上原がいた。佐野は用事があって帰ったらしい。
「わぁ、すごい、可愛いね!」
「だろう?」
真は上原の持つスマホの画面を見ている。上原の飼っている犬の写真を見せてもらっていた。
豆太郎 という名前の丸っこいポメラニアンの愛らしさに、真はもうメロメロだ。
「あっ、これも可愛い!」
「だよな」
「ああっ、こっちの写真のこのポーズ! すっごく可愛い!」
「ああ、我ながらよく撮れてると感心する」
上原は大変愛犬を可愛がっているようだ。スマホには豆太郎の写真や動画が大量に納められていた。
「いいなー、わんこ」
動物と一緒に暮らすのは真の憧れだ。
飽きることなく写真を見続ける真に、上原がポツリと言う。
「これから、うちに来るか?」
「え?」
「豆太郎に会わせてやる」
「え、ほんと? いいの?」
「ああ」
瞳を輝かせて確認する真に、上原はこくりと頷いた。
会わせてもらえるのなら、是非会いたい。真は迷わず誘いを受け入れた。
「い、行きたいっ」
「じゃあ、行くか」
「ちょっと待て!!」
今まで黙っていた今井が、突然声を上げた。
真と上原がそちらへ顔を向けると、今井は仏頂面でこちらを見ている。
「どうした、今井」
「俺も行く」
「俺の家に?」
「ああ」
「今井、これからバイトだろ」
「ぐっ……」
今井は声を詰まらせる。
悔しそうな今井の表情に、真は彼も豆太郎に会いたかったのだと思った。意外と動物が好きなのだろうか。
「っ…………くそ」
今井は相当悔しがっている。彼を差し置いて豆太郎に会いに行くことが申し訳なく思えてきた。でも、真だって会いたい。
「あの、今井くん……」
真はそっと、強く握られた彼の拳に触れる。
「僕、今井くんの分も可愛がってくるから……だから、そんなに落ち込まないで」
真の言葉に今井は更に不機嫌になり、部室を出ていってしまった。どうやら慰め方を間違えてしまったようだ。
その後、真は上原の家へとやって来た。
玄関でお出迎えしてくれた豆太郎に、真は早速心を奪われる。
豆太郎は上原にとても懐いていて、尻尾を振りながら彼の後をついて回る。そのいじらしい姿にまたきゅんきゅんした。
豆太郎は人懐こく、真にもじゃれてたくさん撫でさせてくれた。ボールを投げれば嬉しそうにちょこまかと走り回り、咥えて持ってきて、また投げてと円らな瞳で訴えてくる。可愛くて、真は豆太郎が望むまま何度もボールを投げた。
やがて遊び疲れた豆太郎は、自分の寝床で丸くなって眠ってしまった。
寝姿もそれはそれは可愛くて、真は許可をもらって写真を撮った。
それから上原の部屋に移動して、彼がいれてくれたジュースを飲みながら、また豆太郎の写真を見せてもらう。
見ているだけで笑顔になり、真はずっとにこにこしていた。
「豆太郎くん、ほんとに可愛いね。上原くんがいっぱい可愛がる気持ちわかるよ」
隣に座る上原を見上げれば、彼はじっと真を見下ろしていた。
「お前も可愛い」
「へ……?」
「真も可愛い。いっぱい可愛がりたい」
「ええ……? いや、僕は可愛くはないよ……」
豆太郎に比べれば、雲泥の差だ。比べることすら烏滸がましい。
上原は真顔で真の頬を撫で、「可愛い」と繰り返す。
もしかして、また魅了 を使ってしまったのだろうか。魅了 にかかると、真のように平凡な顔も可愛く見えるのかもしれない。本当は可愛くなどないのに。
「ごめんね、僕、豆太郎みたいに可愛くなくて……」
生憎と豆太郎のような可愛らしさは少しもない。それなのに真なんかを可愛いと言う上原に、申し訳ない気持ちになった。魅了 にかかっているせいであり、本当は真のことなど可愛いと思っていないのだ。
どうして自分はすぐ、上原達に魅了 を使ってしまうのだろう。
罪悪感に顔を伏せると、上原に顎を持ち上げられた。強引に目を合わせられる。
「上原く……」
「可愛い。真は、ほんとに可愛い」
真剣な表情で言われて、彼の本心ではないとわかっていても顔が赤くなる。
真っ赤になった真を見て、上原の切れ長の目が柔らかく細められた。
「ほら、可愛い」
「あ、ぅ……」
ほら、と言われても、どうしていいかわからない。
「可愛いから、可愛がりたい」
「んっ……」
熱っぽい囁きと共に、口付けられる。
重なる唇の感触に、一気に体の熱が上がった。
味わうように、ねっとりと唇を舐められる。
思わず誘うように口を開けば、熱い舌が入り込んできた。
「ンッ……ふぅ、んんっ」
ぴちゃぴちゃと音を立てながら、舌を絡ませ合う。
美味しくて気持ちのいいキスに、真はすぐにうっとりとなった。
ちゅうちゅうと夢中になって上原の舌を吸っていると、彼は唇を重ねたまま真の体を持ち上げた。
「ぁんんっ……!?」
驚く真の後頭部を掌で押さえ、上原はキスを続ける。唇は離さず、真の体をベッドに押し倒した。
キスは更に激しく、濃厚になっていく。口腔内に流れ込んでくる上原の唾液を恍惚とした表情で飲み込みながら、真は懸命に舌を伸ばしてキスに応えた。
「んはぁっ、はっ、はあっ……」
唇が離れ、真は荒い呼吸を繰り返す。
瞳は潤み、頬が紅潮し、すっかり蕩けた真の顔を見下ろして、上原は口元を緩めた。
「可愛い……」
甘い声で囁いて、真の衣服を脱がせていく。
力の抜けた真はされるがまま、裸に剥かれた。
「可愛い、ここも」
「あんッ」
上原の指が、乳首を撫でる。
そこは何度も弄られ、以前よりも色が濃くなり、大きさも増しているような気がしていた。
くにゅくにゅと突起を押し潰され、真の口から絶えず甘い喘ぎ声が漏れ続ける。
「ふぁっ、あっあっあんっ」
「可愛いから、もっと可愛がりたくなる」
「ひあぁっ」
ぬるりとした感触が、胸を這う。
上原の舌が乳輪を辿り、乳輪にかぷりと優しく歯を立てられる。やんわりと歯が食い込む感触に、真はびくびくと体を震わせた。
「んあぁんっ、あんっあっあっひあっ」
つんと尖った乳首を、乳輪に押し込めるように舐め上げられる。もう片方も、指で同じように磨り潰される。
「あっあっ、うえはらくぅ、んんっ、んあぁっ」
「はあっ……可愛い」
舐めて、撫でて、愛でられる。本当に、甘やかされ、可愛がられているような感覚だった。
歯に挟まれた乳首が、コリコリと甘噛みされる。もう片方は、指で摘ままれぐにぐにと捏ねられる。
びくん、びくん、と真の体は刺激される度に跳ねた。
はしたなく腰が浮いてしまう。頭を擡げたぺニスからはひっきりなしに先走りが溢れ、垂れ流されていた。
「んやあぁっ、あっあっ、んっ、ひあぁんっ」
胸を弄られただけで感じまくっている自分が恥ずかしいのに、抑えることなどできるわけもなく、真は与えられる快感によがり続けた。
じゅうっと乳首を強く吸い上げられ、指に挟まれた乳首を引っ張られた瞬間、びくびくっと背中が仰け反った。そして、ぺニスから精液が噴き出す。
「ふあぁっあっあっあっ、ああぁっ」
ぎゅうっと爪先を丸め、快感に身を震わせながら全てを吐き出す。
乳首の愛撫だけで射精してしまったことに、真は強い羞恥を覚えた。
胸から顔を上げた上原は、精液で汚れた下腹を見て目を細める。
「乳首だけでイッたのか」
「あっ、んぅっ、ごめ、なさいぃ……っ」
「どうして謝る?」
「だって、こんな……」
自分がはしたない、どうしようもない淫乱に思えて、真は顔を真っ赤にしながら涙を流した。
「恥ずかしいのか?」
「うぅ、うん……」
「恥ずかしがる顔も、可愛い」
どこかうっとりとした表情で囁き、上原は真の腹部に顔を寄せた。そして飛び散った精液を舐め取る。
「ひやっ、だめ、だめっ、舐めちゃだめっ」
「どうして。お前もいつも俺たちのを舐めてるだろう」
「僕はいいの、美味しいからっ、上原くんはだめだよぉっ」
何度駄目だと言っても、上原はやめてくれない。抵抗するように身を捩れば、腰を押さえ付けられてしまう。
「ひんっ、お願い、やめてぇ、あっあんっ」
「やだ。やめない」
結局精液は全て舐め取られ、それから上原はぺニスにまで舌を這わせた。
「やあぁっ、らめ、そんな、舐めないでぇっ」
「ん、ここも、可愛いな」
そんなことを呟いて、本当に可愛がるようにぺニスも愛撫する。
陰嚢をしゃぶって口の中で転がし、根本を舐め回し、裏筋を舐め上げ、幹を柔らかく唇で食んで、先端を口に含んで吸い上げた。
「ひゃあぁあんっ、らめ、らめぇっ、しないで、そんなこと、しちゃ、あっあっあっあぁんっ、んあぁっ」
真は首を振り立てて快感に喘いだ。
とろとろに蕩けてしまうような快楽に襲われ、抵抗もできず、ひたすら嬌声を上げ続ける。
上原はやわやわと袋を揉み込みながら、口に咥えたぺニスにじゅるじゅると吸い付いた。滲み出す先走りを啜り、舌先で鈴口を擦る。
「んゃっ、いくっいくっ、出ちゃうから、離して、あぁっ、らめ、出ちゃうぅっ」
ぶるぶると内腿が痙攣する。必死に我慢するけれど、長くはもたなかった。
射精を促すように口内で扱かれ、真は呆気なく精を吐き出した。
上原は当然のように精液を口で受け止め、躊躇いなく飲み込む。
ごくりと喉を鳴らす音が聞こえ、真はぽろぽろと涙を零した。
「ゃああっ、飲まないでぇっ……」
飲んだあとに言っても手遅れだが、混乱していた真はいやいやと首を振る。
泣きじゃくる真を見て、上原は恍惚としたように僅かに頬を染めた。
「泣き顔も可愛い。だから、いじめたくなる」
「ひゃっ……!?」
大きく開かれた脚をぐっと折り畳むようにされ、腰が浮き上がる。陰部を晒すような恥ずかしい体勢に真は赤面した。顔だけでなく体まで茹で上がる。
「やぁっ、上原く、恥ずかし、からぁっ」
もじもじと腰を揺すって訴えるが、上原は離してくれない。
見られたくない双丘の狭間に、彼の視線が突き刺さる。
「ここも、可愛い」
「ひっ……」
会陰を舌が辿り、止める間もなくアナルを舐められた。
真は瞠目し、悲鳴じみた声を上げる。
「ぃやあぁっ、だめ、そこはだめっ、んゃっ、舐めないでっ、汚いよぉっ」
「汚くない。可愛いから、ここも可愛がってやる」
「いやっ、しないで、あっ、ひんっ、舌で、ぐりぐりしちゃやあぁっ」
収縮する後孔を舌で穿られると、刺激されることに慣れたそこは悦ぶように口を開け、舌を飲み込もうとする。
ぬぷぬぷと舌を抜き差しされ、指とも男根とも違うその感触に真は確かに快感を得ていた。ぺニスは再び熱を持ち、それを如実に表していた。
「ひんんぅうっ、んあっ、あっ、らめっ、はひんっ」
指で左右に開かれたアナルを、舌で犯される。
徐々に綻んでいく肉壁は、媚びるように舌に絡み付き、きゅうっと窄まった。
上原は分泌する蜜を啜りながら、舌で中を舐め回す。
ぴちゃぴちゃと卑猥な水音が、自分の嬌声に混じって真の耳に届いた。
「あぁんっ、あっあんっ」
柔らかな粘膜で、敏感な粘膜を擦られる快感に真は身悶えた。
気持ちよくて、しかし蠢く直腸はそれだけでは物足りないと訴える。
もっともっと、奥までいっぱい擦ってほしい。みちみちになるほど太いものを埋め込んで、奥の奥まで貫いて、何度も激しく突いてほしい。
ちゅぽっと、舌が抜かれる。喪失感に、肉壁が切なく疼いた。
「はひっ、んあっ、上原くぅ、んんっ」
「俺のこと欲しがってるその顔も、堪らなく可愛い」
上原の情欲にまみれた眼差しに見下ろされ、視線に犯されているような感覚に、ぞくんっと胴震いする。
ひくひくと開閉するアナルに、熱い肉塊が触れた。そのまま、ゆっくりと押し込まれていく。
「んああぁぁっ、あっあっ、ひ、は、ああぁっ」
「はっ……このときの、顔も、可愛い」
真の顔から目を離さずに、上原は自身を埋め込んでいく。
疼いていた腸壁を固く太い肉棒に擦り上げられ、真は快感に身をくねらせた。胎内で上原の熱がどくどくと脈打つのを感じる。
甘い精気の匂いに包まれ、頭がくらくらした。
「あっあっあっ、奥まで、んあっ、上原くんの、いっぱい、あっあんっあっひっひあぁっ」
「中、擦られて、蕩けてる顔も、可愛い……っ」
上原は息を乱しながら腰を進める。きゅうきゅうとしがみついてくる肉筒の中で抜き差しを繰り返しながら、徐々に奥を押し開いていく。
「ンあっ、あっひっひあぁっ」
ぐぷっと亀頭が最奥にめり込み、真は強烈な快楽に背中を仰け反らせた。震える爪先が宙を掻く。強すぎる快感を与えられ、縋るようにシーツを掴んだ。
上原は白くなるほどきつく握られた真の手を取り、自身の背中へと回させる。
真は広くて逞しい彼の背中にしがみついた。
「んひっ、んっんっ、うっ、あっあっあっあっ」
「はあっ……気持ちよすぎて、わけわかんなくなってる顔も、んっ……可愛い」
「ンンぅっ」
だらしなく開いた真の唇に、唇が重なった。舌を摩り合わせ絡ませ、互いの口内を舐め回す。
キスを交わしながら、奥をごちゅごちゅと小刻みに突かれる。
上と下の濃厚な繋がりに、真は目眩を感じるほどの快楽に溺れた。
美味しくて気持ちいいと、真の全身が訴えている。
「ふぁっ、は、んんっ、ふ、はんんぅっ」
「はっ、ン……真、可愛い」
「ん、ちゅ、んっんっんっふう、んんんっ」
抉じ開けられた奥をぐりぐりと擦られ、痺れるような快感に、絶頂へと追い上げられる。
「は、んっ、うっ、んっんっ、~~~~~~!!」
上原の背中に爪を立てて縋りつき、キスで口を塞がれたまま射精した。
上原はそのまま痙攣する肉筒をぐぽぐぽと抉り、自身も絶頂へ向けて激しく腰を動かした。
「んふぁっ、はんんっ、んっんっ」
「ぁ、はあっ、真、真……んっ、くぅ……っ」
真の口内を貪りながら、上原も吐精した。
びゅーびゅーと、大量の精液が胎内に注がれる。
真はきゅうぅっとアナルを締め付け、上原の体にしがみつき流れ込む体液を全て受け入れた。
精気に満たされる快感に、真の顔はだらしなく緩んだ。
その緩みきった顔を真上から見下ろし、頬を染めた上原はぽつりと呟く。
「その顔が、一番可愛い」
自分の顔は見えないが、自分が今、相当だらしない顔をしていることは真にもわかる。
魅了 の力は凄いのだな、と真は思った。
後日、今井に真が撮った豆太郎の可愛い写真を見せてあげた。喜んでもらえるかと思ったが、不機嫌になった今井に押し倒されてしまった。いつもより激しく抱かれて、気づけば今井の機嫌は直っていたが、それから今井の前では豆太郎の話は控えることにした。
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