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第4話

 俺は一年前から、そのシステム開発プロジェクトの管理チームに属している。立場はサブリーダーだが、リーダーに変わって細かな仕様の確認などを客先の担当者とやり取りをしていて、その相手が目の前の水無月馨だったのだ。  俺は慌てて吸いかけの煙草を灰皿に押しつけると、「すみません、これは失礼しました」と名刺入れを探した。  その俺の様子に水無月はまた笑顔を見せて、 「名刺交換は後で。実は僕も今は持っていないんです」  俺は初めて拝んだ彼の姿を改めて確認する。  背は俺より少し低くて細身の体格だ。だからその体を包むウエストコートが品良く似合っている。髪は柔らかそうな茶色で癖毛なのか少しウェーブがかかっていた。  その前髪の下には綺麗に調えられた弓形の眉。そして程好い二重瞼の瞳も髪色と相まった琥珀色だ。鼻筋の通った顔は色が白くて冷たい印象を与えるが、口角の上げられた唇は少しふっくらとした桜色でそれが全体的に彼を優しいイメージに彩っている。

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