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第5話
ああ、こんな顔をしていたんだ。
いつも電話越しでの声と、ビジネスメールでしか感じたことの無い彼が実際に目の前にいると不思議な感覚がした。それは彼も同じようで、先程からその視線が俺の頭から靴の先までをゆっくりと移動していた。
「何だか不思議な感じっすね。良く知っているのに初対面なんて」
ちょっと砕けて言ってみる。約一年間の仕事でのやり取りは、彼はお客様なのにこんな口調も出るほどになっていた。
「本当だ。何度か機会はあったのに、なかなかお会い出来なくて。でも僕の印象通りの方ですよ、木崎さんは」
彼にどんな印象を持たれているのか気にはなったが、いやぁ、と照れ笑いを浮かべた。
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