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第24話

 テストをしていたプログラムを終了してパソコンの電源を落とす俺の背中にのし掛かり、後ろからハグをする水無月は飲みかけの甘酒の缶を俺の口元にあてがって「飲む?」と聞いてきた。 「いりません。甘いものも酒も得意じゃないんで」 「そうなんだよねぇ。木崎君がその風貌で酒に弱いなんて意外だったよ。てっきりうわばみかと思っていたのにビールジョッキ半分で顔が真っ赤になるなんて、すごく可愛かった」  歓迎会での俺の様子を思い出して、彼はクスクスと笑う。 「せっかく木崎君と間接キスできるところだったのにな。せめて、飲み口だけでも舐めてくれない?」 「嫌ですよ。ってか、早く帰りましょう。そろそろ上着を返してください」  えー、と不満を口にした水無月から上着を奪取すると、さっさと帰り支度をしてオフィスの灯りを消した。

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