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第29話

(おいおい、待ってくれ)  アッケラカンと言う彼の態度があまりにも自然で、まるで俺のほうがおかしいような気がするのは何故だ!?  寒さに震えて小首を傾げる水無月を前に俺は、はああ、と盛大にため息をついた。 「……あのですね、別にあんたの性生活をとやかく言う筋合いは無いんでしょうけれど、それでも限度ってもんがあるでしょうが。毎日のように違う男を取っ替え引っ替え、それも全員知らないヤツなんて、何か事件にでも巻き込まれたらどうするんですかッ」  水無月は琥珀の瞳をまんまるにして俺の説教を聞いている。その様子がこれまた人を喰ったように感じて、 「それにね、仕事関係の人間には知られたくないって最初に言っていたけど、もう結構噂になってるから」  噂? と、彼がさらに首を捻る。その姿に俺の口は止まらなくなった。

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