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第33話
ハッ、もしかしてッ!?
慌てて腕時計を確認した。日付が変わって十五分も過ぎている。ということは……。
「ああっ、今日も終電、逃した」
今夜もまた自腹タクシーかオフィスで震えながら始発まで待つのか……。
がっくりと項垂れる俺を前に水無月は、ふむ、と何かを思いついて、
「ねぇ木崎君。よかったら今夜は僕の部屋に泊まったら?」
(またこの人は突拍子もないことを……)
「お気持ちはありがたいんですが着替えも無いし、自分の本能が『危ないからやめろ』と囁いているんで遠慮します」
俺の返事を聴いた水無月はその場で腹を抱えて笑いだした。
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