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第35話
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「どうしてそんなに隅っこで横になるわけ? 広いんだからもう少し真ん中に寄りなよ。そうでなくても木崎君は体が大きいから、そんなに端にいるとベッドから落ちるよ」
やぶれかぶれで大きなベッドに横になっている俺の耳元で、水無月は呆れたように囁く。掛かる吐息にブルンッと肩が反射的に震えた。
真ん中に寄れとは言うが、さっきから水無月は横たわる俺の背中に添うようにピッタリと体を引っ付けて、さわさわと俺の尻をまさぐっていた。
「……水無月さん、いい加減にしてくださいよ。これ以上、セクハラするんなら俺はタクシーで帰りますよ」
「ごめんごめん。いや、木崎君は本当に温かいなあと思って、つい嬉しくなったんだよ」
水無月は毛布の下で足先を何やらごそごそと動かすと、俺の左足のスラックスの裾を器用に足の指に挟んで捲りあげて、
――ぺたっ。
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