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第36話
「ッ、冷たッ! 水無月さんっ、あんた、ちゃんと風呂に浸かったんだろうなっ!?」
凍りそうなほどに冷たい足の裏が俺のふくらはぎに押しつけられる。思わず肩越しに背中の水無月を確認すると、何と彼の白い肩があらわに毛布から出ているのが見えた。
「なんで上半身裸なんだよ。それに、いつもこんなに手足が冷たいのか?」
「普段から寝るときはなにも身に付けないんだ。それと小さな頃から冷え症でさ」
じゃあ、今、水無月は真っ裸で俺の隣に寝そべっているのか?
「そうだ! 木崎君、今度から君が僕の専属湯たんぽになってくれない?」
するりとワイシャツの上から脇腹を掠めて腕が前に廻されてきて、俺は思わず両手で股間を包んだ。後ろから抱きつく水無月は、
「我ながらいい考えだ。ここから会社まで五分程だし、君も深夜に疲れて自宅に帰らなくてもいい。それに僕もわざわざ湯たんぽ探しに行かなくても済むから一石二鳥だよ」
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