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第38話

 不満げに水無月は俺に抗議をしたが、うっかりシャワーでも浴びて裸を覗かれるなんてゴメンだ。どうせ始発までの二、三時間程、横になるだけだしと我慢したのだ。  それでも、ゆっくりとシャツやスラックスの上から俺の肌を這う水無月の手の感触に、先ほどからエマージェンシーコールが頭の中で鳴り響いて止まらない。 (そういえば初対面の時、俺を落とすって言っていたよな?)  今夜の残業はもちろん偶然の事だが、それすらも彼に仕組まれたように感じてしまう。  それに男なのに、彼の言動にはどこか、はっとするほどの艶っぽさが醸し出されているのも俺の危機感を更に煽る。  背中の水無月が、きゅっと俺に抱きついてくる。俺はさらに自分の股間のガードを固めた。肩甲骨辺りにぐりぐりと当たるのは彼の頬だろうか。 (もしも今夜、自分を抱けと言われたら、どうしよう……)

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