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第42話
ふわりと胸を透くような爽やかな香りに目を覚ます。
上を向いたまま、ぼけっと霞む視界に、ここはどこだと考え込む。視界と共に頭の痺れもクリアになってくると、ここが水無月の宿泊するホテルの一室であることを思い出した。
隣に顔を向けたが、そこに寝ているはずの水無月の姿は無い。
(もう始発は動いているのか?)
俺はベッドのヘッドボードに嵌め込まれたデジタル時計に視線を移した。
「えっ!? 七時半ッ!?」
がばっとその場に飛び起きた。瞼を擦って何度確認しても時間は最初に見たときと変わらず、唖然としている俺の目の前でデジタル表記が一分進んだ。
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