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第44話
「インスタントで申し訳ないんだけれど」
それでも、目覚める時に気づいたのと同じに爽やかに香るコーヒーを、俺はありがたく頂くことにした。
ベッドから体を起こして、縁に腰かける。皿ごとカップを受け取ると、熱いコーヒーを啜った。そんな俺の様子を水無月は満足げに見つめて、また窓から外を眺め始めた。
洗い晒しの髪に、バスローブの裾から素足が覗いている彼の後ろ姿をコーヒーの湯気の向こうに眺める。バスローブの下は裸のままなのだろうか。窓枠の壁に軽く肩をつけ、左手に皿、右手のカップを優雅に唇に近づける彼は、なぜか一心に窓の外を見つめていた。
ふと、水無月に聞いてみた。
「いったい、何が見えるんですか?」
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