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第45話
俺の問い掛けに水無月は笑みを浮かべると、持っていたコーヒーカップを近くの小さなテーブルのシェードランプの下に置いて、ちょいちょいと俺を手招きした。
俺もカップを退けると、窓際の水無月に近寄る。だが、そのまま窓から顔を覗かせるのは躊躇して、水無月が凭れている対面の窓枠の壁に体を隠して、そっと外を窺った。
目の前には高いビルの間に建つこの街の中心駅が見える。
ここは視線が高いから駅の向こうにそびえる小高い山の上の銀色の仏舎利塔までばっちりと拝められた。ターミナルビルの在来線の行き交いは臨めないが、代わりにビルの三階付近にある新幹線ホームに入る列車は見ることができた。
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