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第46話
視線を徐々に下に移すと、ターミナルビル前の広場に入る路面電車やバスの群れ。沢山の人々が行列を作り、それぞれ目的地へ向かう車輌へと吸い込まれていく。
ターミナルビルからこちらに向かって伸びる道路は思ったほど車の通りは無い。途中、俺も通勤で渡る大きな川を渡る橋の上の人達は皆、寒そうに肩を竦めて足早に歩いていた。
俺はいつもこの部屋を見上げる橋の袂の歩行者信号に視線を止めた。俺の視線の先がわかった水無月が、
「結構人は歩いているけれど、誰も君のように立ち止まって見上げる人なんて居ないね」
まあ、確かにな。とはいっても、実際に会社の女の子達のゴシップになる位なんだ。見上げる人は居るし、俺のように視力の良いヤツも居るだろう。
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