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第51話

「どう? もちろんセックスは無し。でも、僕は君にこうして抱きついちゃうけれど、それだけ我慢してくれたら君にも僕にもメリットだと思わない?」  水無月がここに留まるのはあと二週間。この二週間は開発の追い込みで昨夜のような状態になる。作業時間と俺の人間らしい生活を考えると水無月に抱きつかれるくらいどうって事はない。  それに俺と居ることで、彼が不特定多数の男を引っ張りこんでは危険な目に遭うかもしれない確率もぐっと減る。  抱きついたまま、至近距離で俺を見上げる水無月の色素の薄い瞳を見ていたら、何となくその提案に了承する旨を口に出していた。

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