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第53話
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水無月馨の誘いに乗って、彼と専属湯たんぽ契約をしてから一週間が過ぎた。
あの話のあと、水無月に急き立てられて一旦家に戻ると、数日分の着替えを準備して、それから奇妙なホテル生活が始まった。
深夜残業をこなし、会社帰りに近くのコンビニで夕飯を買って、あの無駄に広いダブルの部屋へ水無月と共に向かう。弁当を口の中にかき込んでいるうちにバスタブに湯を溜めて、食事の済んだ水無月を無理矢理に熱い湯の中に突っ込む。
すぐに出てきた彼に小言を言いながら、自分も覗きに注意しつつ入浴を済ますと、あとは水無月とベッドの上だ。
彼は言った通り、スウェットを着て横たわる俺に必ず抱きついて眠りについた。
相変わらずその体には何も纏っておらず、引っ付けられる手足も冷たいが、俺に性行為を強要することはなかった。
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