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第54話

 ちょっとそれが拍子抜けで、少し残念だと思う自分を罵りつつ、最初の夜こそガチガチに体を固まらせて横になっていた俺だが三日もすると段々慣れてきて、無意識に俺にすり寄ってくる彼の背中をシーツ越しにさすってやるくらいの心の余裕も出てきている。  そして朝は水無月の方が必ず先に起きて、いつもコーヒーを嗜みながら、窓の外の風景を眺めていた。  今朝も俺は目を覚ますとベッドに寝転んだまま、窓の外へと視線を向ける水無月の横顔を見ている。  実は最近、その表情の中に真剣さと少しの愁いが漂っているのに俺は気づき始めていた。俺の視線を感じた水無月が、 「そろそろ起きて早く行かないとレストランが混むんじゃない?」

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