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第74話

 項垂れる柔らかな茶色の髪を見ながら、俺はその台詞にぴくりと右の眉毛を引き上げた。  水無月はひたすらに俺に謝っているが、本当に腹を立てているのは彼に対してではなく、俺の自制心の無さにだ。  別に水無月とアソコの扱き合いをしてもいいのだ。俺だって童貞でもないし、セックスに対して清い幻想を抱いている訳でもない。ぶっちゃけ、気持ち良くヌければ男に咥えられても大丈夫だと思う。  ただ、振り向き様に投げかけられた水無月の潤んだ瞳を見て、思わずその唇に自分から濃厚なキスをしたのが意外だったのだ。  どうしてあの時、彼に対してあんな行動を取ったのか?  その時の自分の感情が全く理解できず、彼にどう接して良いのかわからないまま、気恥ずかしいのもあって今朝から水無月に余所余所しい態度を取っていたのだ。

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