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第79話
しばらく三人で互いを見つめあったあと、水無月が先にその表情を笑顔に変えた。
「久しぶりだな、佐竹」
取り澄ましたように言った水無月に佐竹さんが、ハッと我に返ると、
「久しぶりも何もあるか! 黙っていつの間にか俺の前から姿を消しやがって。それに何だ、他人行儀に名前を呼ぶなんて、昔みたいに恭介 って、」
そこで佐竹さんは二人を交互に見つめる俺に気がついたようだ。
急に言葉を飲み込んで、「いや、その何だ……」と口籠もった。
「あの、もしかして知り合い……、とか?」
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