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第81話
それだけ言うと水無月は佐竹さんと俺を置いて、さっさと店の入口へと歩いていく。俺は佐竹さんに一礼するとその場を離れようとした。すると、
「木崎、お前、いつからあいつと仕事をしているんだ?」
「顔を合わせたのは今月始めですけど、一年前から電話でやり取りはしていましたが?」
そうか、と佐竹さんは何かを考え込むように黙ってしまった。俺はそんな佐竹さんにもう一度小さく会釈をして店の外へと出ていった水無月を追いかける。
立ち去る時に俺に向けられた、佐竹さんからの射すような視線をチリチリと後頭部に感じながら。
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