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第82話
前を歩く水無月の背中に追いついたが、俺は佐竹さんと彼との関係を訊ねる事はしなかった。いや、正確には出来なかった、だ。
とにかく、佐竹さんとの事は一切何も聴くなと言う無言のオーラが水無月の全身からビンビン伝わってきたからだ。
とはいえ気になる。どうも佐竹さんの様子だと二人はとても親しくしていたようなのだ。それも互いを下の名前で呼ぶくらいに。
以前、どこかで会ったのだろうか? 会ったとしたらどこでだ?
定時時間を越えた喫煙室で煙草を咥えてぼんやりと考え込む。すると、喫煙室のドアが開いて、ヒョイと水無月が顔を出した。
「木崎君、すまないけれど今日は先に帰ってもいいかな?」
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