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第83話
「いいですけど、どうしたんですか?」
「いや、ちょっと寄るところがあってね。日付が変わるまでにはホテルに戻るから、今夜もいつもの通りに来てくれてもいいよ」
はぁ、と返事をすると水無月はそそくさと喫煙室をあとにした。
なんだろうな、もしかしたら佐竹さんと会う気になったのか?
なぜか急にムカついた気分に襲われた。落ち着こうと煙草を吸い込んだとき、
「おっ、木崎じゃん。元気だったか?」
入ってきた人物に、あれっ、と声が出た。
「大杉 さん、こっちに来ていたんすか?」
「そうそう。今は佐竹の案件を手伝ってんの。転勤してからだから二年ぶりだな、木崎」
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