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第84話
大杉さんは佐竹さん同様、以前のプロジェクトでお世話になった人だ。俺の会社は二年前に大きな組織改編を行って、大杉さんは今は九州の支社に移っている。
確か、この人は佐竹さんと同期だったはず……。
「大杉さん、ちょっと聞きたいんですけど、水無月馨って人、知っていますか?」
至って普通に聞いたのに、大杉さんはゴフッと吸い込んだ煙を盛大に吐き出して、ごほごほと噎せた。涙目を擦って、俺に赤い顔をしたまま、
「知ってるも何も、水無月は五年前までうちの社員だった男だよ。俺と佐竹の同期だったんだ。でも、何で木崎が水無月を知ってんの? お前は確か、あいつが辞めたあとに東海支社から移ってきたのに?」
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