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第95話

 庇うように背中に水無月を隠して、彼に詰め寄った男を睨み付ける。  急に出てきた俺に目の前の男が、誰だっ! と驚いた。  暗がりだが見覚えのある男の顔がわかって、途端に俺の苛つきがピークに達した。 「俺はこの人の同僚だ。お前こそ学生の分際で三十路の男に何してくれんだよ?」  思いきり睨みを効かせて目の前の男を恫喝した。急に学生の威勢が萎んでおどおどとし始める。追い打ちを掛けるように、 「お前、そういや、この人を無理矢理ヤッたんだってなあ。丁度いいや。俺は今、かなりムシャクシャしていてさ。ちょっとストレス解消に殴り合いでもしてみるか?」

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