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第100話

「おはよう、木崎君」  声をかけられて眠りから一気に覚醒した。がばっ、とシーツを跳ねあげて体を起こすと、いつものように窓際に水無月がコーヒーカップを持って立っていた。水無月は寝起きの俺に微かに笑いかけると、 「昨夜は君に助けられた。ありがとう」  やけに殊勝な謝りの言葉に俺はどう返していいか分からずに、ああ、と言ってベッドから脱け出した。 「今朝は雨なんだね」  窓の外へと視線を向けた水無月に近寄って、背後から外の景色を眺める。駅から歩いてくる人々は色とりどりの傘をさしていた。 「寝癖が酷いよ。シャワーを浴びてからここを出たら……」

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