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第104話

 多分、顔バレだってしているはずだ。何度か廊下ですれ違い、その度に軽い挨拶を交わすが、顔は笑っているのに目は笑っていないんだよな。  短くなった煙草を灰皿に押しつけて、そろそろ喫煙室から出ようとしたとき、ガラスの向こうに佐竹さんと大杉さんがドアを開けて入ってこようとしているのが見えた。 「お疲れ様です」  先に俺のほうから挨拶をする。大杉さんは挨拶を返してくれたが、佐竹さんは少し顎を引いただけだった。 「そういや明日からだっけ、現地テスト」 「そうですね」 「じゃあ水無月もあっちに帰るんだ」  俺と大杉さんの会話を佐竹さんは関心が無いように煙草を燻らしながら聴いている。

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