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第106話

「懐かしい?」 「ああ。昔、佐竹がよく吸ってた煙草だよ。ほら、水無月がまだここにいた頃」 「……覚えていないな」  素っ気なく大杉さんの指摘に佐竹さんは返事をしたが、その視線はちらちらと俺の咥えた煙草を見ている。 「ほんと、お前ら雰囲気がよく似ているよな」 「馬鹿言うなよ。俺に似ているなんて木崎が迷惑だろう? それより、そろそろ戻ったほうがいいんじゃないか?」  大杉さんが時間を確認して慌てて喫煙室から出ていく。残ったのはなぜか不機嫌な様子の佐竹さんと俺。黙ったままで煙草を燻らす佐竹さんに痺れを切らして口を開きかけた時だった。 「……今朝、なんで駅前のホテルから出てきたんだ?」

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