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第107話

 視線を外したままの佐竹さんの問いかけに、 「実はあのホテルに水無月さんが滞在しているんですよ。それで俺がたまに終電逃したら泊めてくれるんです」  ふうん、と返事と一緒に口から煙が吐き出された。佐竹さんは、かなり気になっている様子だ。俺は畳み掛けるように、 「なかなかいい部屋なんすよ。それに朝も自分は食わないからって俺に朝食チケットまでくれて。やっぱ、ホテルのメシはいいっすね。忙しかったのにちょっと太ったかも」 「木崎、あまり馨に近づくなよ」  俺の軽口を佐竹さんが遮った。 「それはどういうことですか?」

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