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第108話

「あいつはな、男が好きなんだよ。以前、ここに居たときも何人か言い寄られて迷惑被った奴らが居るんだ。変な噂になったりな。俺はお前にそんな思いはしてもらいたくはない」 「へぇ、そうなんですか。でも俺は別にそんなこと迷惑とは思いませんよ」  ギラリと佐竹さんが睨んでくる。俺はそれを華麗にスルーして、 「水無月さんって結構可愛いですよね。いつも寒いからって俺にぴったり引っ付いて眠るんですよ。朝だって、ちょっと甘えてくるし、甲斐甲斐しく面倒みてくれるし、あれじゃそこら辺の女は太刀打ち出来ないな」 「木崎っ! お前、いい気になるな!」  この顔――。  こんな嫉妬に満ちた佐竹さんの顔は水無月には見せたくはないな。

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