116 / 140
第116話
バンッ!
ド派手なドアの音に、ベッドの上で水無月に馬乗りになっていた佐竹が驚いたように振り返った。俺は素早く二人に近寄ると佐竹の後ろから上着の襟を掴んで渾身の力で水無月から引き剥がした。
佐竹は短く声をあげるとベッドの上からバランスを崩して床に転げ落ちた。その脇を素早くすり抜けて、乱れたバスローブを直す事もせず、上体をあげて茫然と座り込む水無月を庇うように抱きしめる。
「全部聞いたよ佐竹さん。あんた、本当に最低な野郎だな」
佐竹は立ち上がってびっくり顔で俺を見ていた。水無月は囁くように、
「……全部聞いたって、……どこで?」
「トイレの中」
「――トイレの中っ?」
ともだちにシェアしよう!