117 / 140

第117話

 二人の驚いた声が綺麗にハモる。それすらもムカつく俺はどうやらかなり水無月に本気みたいだ。 「あんたが今夜、この部屋に来て水無月さんに乱暴を働くことはわかっていたからな。だから隠れて様子を伺っていたんだ」 「乱暴って、何を言うんだ。俺はお前のために馨に忠告しに来たんだ。木崎は将来のある奴だから邪魔をするなって」 「忠告? そんな先輩風なんか吹いていなかったけど? それよりも、あんたの浮気が原因で今は奥さんと別居中で大変だそうじゃないですか。夜の相手が調達できなくて溜まっているから水無月さん相手に一発ヤろうとでも思ってここに来たんすか?」  グッ、と黙った佐竹が拳を握りしめる。

ともだちにシェアしよう!