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第118話
「佐竹さん、あんたの価値観をこの人に押しつけるなよ。あんたからしたら同性を恋愛対象にしているこの人は有り得ないのかも知れないけれど、だからと言ってあんたが好きだと言ってる人をオナドール代りにするほうが俺からしたら異常だ」
佐竹が顔を真っ赤に染めて俺を睨み付ける。
「俺にこの人を取られて悔しいのはわかるけどな。でも今のあんたはお気にいりのおもちゃを奪われたガキと一緒だ」
「じゃあ何かっ!? お前は馨を女みたいに愛せるっていうのか!?」
佐竹が己のプライドを奮い起たせて言った言葉に、俺は呆れたように嗤いを乗せると、
「男とか女とか今更関係ねえの。俺はこの人が、水無月馨って人が好きなんだよ」
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