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第129話
わざといやらしい音を立てて、細くて綺麗な指を順番に舐めていく。途端に冷たかった指先はほんのりと温かくなり、馨の吐息も熱を帯び始める。だめ押しするように、チュッと高く指から唇を離すと、横たわる馨は潤んだ瞳で俺を見上げていた。
「俺がこれからもずっと馨を暖めてやるよ」
その瞳を覗き込んで囁いた。
瞬間、彼は泣きそうな顔をして、そしてゆっくりと俺に向かって両手を拡げた。俺は彼の細い体を強く抱きしめる。
はぁ、と大きく吐息を洩らした馨は、やがて小さく、
「こんなに温かいからこれは夢じゃないんだね……。大河、……好き」
鼓膜を浸透した馨の言葉に、俺の理性は一気に吹き飛んだ。
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