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第4話 形だけの拒絶

 近堂が腰を振るう度に、ぐちっ、ぐちゅんと粘っこい淫靡な音が廊下まで響く。 「ゃ…、ぃ、や………ぁ……んっ…」  浦田の拒否は、形だけだ。  その証拠に、浦田の腰がいやらしく(くゆ)り、こちらへと向いた顔はだらしなく蕩けていた。  浦田の瞳は焦点が定まらず、宙を彷徨(さまよ)う。  快楽に溶かされた浦田は、もう近堂のペニスの虜だ。  ふと、流れてきた近堂の視線が、一瞬オレを捉えた気がした。  腰の律動を止めるコトなく、にたりと笑った近堂は、浦田の尻肉を掴む。  ぐにゅりと変形するほどに鷲掴んだ尻肉を外へと開き、オレが構えるレンズへと結合部を曝した近堂は、煽るようにゆったりとペニスを抜き、再びじわじわと中へと(うず)める。 「ぁ、……ぁあ、…」  激しかった腰振りが、スローテンポへと変換され、焦れた浦田は、待ちきれないというように身体をびくつかせる。  近堂に擦り寄り、媚びる浦田のエロい身体に、オレのペニスが勃起する。  思わず、べろりと舌を(なめず)り、録画を続けながらも、股間を弄る。  結合部をレンズへと曝したままに、激しいグラインドを再開させた近堂は、うっとりと快楽に沈む浦田の耳許に唇を寄せた。 「はっ…、は、…好きだよ、好きだ、浦田…好きだ……」  壁に押しつけられならが、立ったまま腰を振りたくられる。  近堂の言葉に煽られるように、浦田の腰が、えげつなく揺らぐ。 「ん……んっ…ふ、……ンッ……」  浦田の鼻から漏れる淫靡な音。  好きの言葉の度に、浦田の尻がひくひくと蠢き、近堂のペニスをしゃぶる孔が、レンズ越しでもわかるほどに、きゅぅっと締まる。  パンッ…パンッ…と、1打1打が重く乾いた破裂音を立て始めた。 「ぁっ……はぁ…ンッ………あっ……」  奥を抉られる衝撃に、浦田は身体を震わせ嬌声を零す。 「ぁ、……ぁあっ…、イ、ク……ンッ…イッ、ちゃ…………」  いやらしく身体を捩り、近堂を求める浦田。  酸素を求める金魚のように、口をぱくぱくと開閉しつつ、近堂にキスを強情(ねだ)る。  媚びる浦田の口を片手で塞いだ近堂は、瞳だけで微笑んだ。 「唇へのキスなんていらねぇだろ。こっちでもっと濃厚な…ディープなキス、…してやってるで、しょっ」  軽く落とした腰を、ぐんっと突き上げる近堂。  これでもかと言わんばかりに下から突き上げる近堂の動きに、浦田の足裏が瞬間的に、地面を離れる。 「ひぁ…………っ」  一点にかけられる自重に、浦田の瞳が血走った。 「もっとでしょ? 奥まで全部、犯してやるよ…。満足するまで、メスイキしとけっ」  浦田の腰を両手で固定した近堂は、背を反らせ、いやらしく絡みつく肉襞を満足そうに眺めながら、自分勝手に高みを目指す。  “遠慮”などという言葉は、そこに存在しない。  ひんひんと啼く浦田などおかまいなしに、近堂は性器と化したその孔を貪り続けた。  エロく甘ったるい快楽に沈んでいた浦田の顔は、苦痛の色に染まり、泣き喘ぐ。  逃げ出そうとする身体を固定し、自分の欲を叩きつける近堂は、悦に酔う。  見せかけだけの拒絶ならば、煽りになる。  でも、心の底からの苦痛は、好きじゃない。  (しいた)げられるコトに甘い快感を得るのなら、与えるコトも(やぶさ)かじゃない。  でも、苦痛だけのセックスに、興奮を覚える(たち)じゃない。  そわりと凪ぐ興奮に、オレは録画を止めその場を離れた。

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