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第24話 拘りのない器

「オレのせいなの?」  きょとんとした音を纏う阿妻の声が、耳に届く。  萎えるコトの知らない体液塗れのペニスを緩く弄りながら、“元からだろ”と言いたげな阿妻の瞳が雪野を見やる。  阿妻の向こうで、浦田は近堂に抱きかかえられ教室を出ていった。  浦田が最初に連れてこられた日。 「こんなの撮れたんで、オモチャが増えました」  その日、雪野は学校を休み不在だった。  雪野が居ない日に、北校舎にいったところでなんの楽しみもない。  帰ろうとしていた俺を捕まえ、先に北校舎で待っていてくれと告げ、居なくなった阿妻が、いつもの教室に着いた瞬間に放った言葉だった。  顔の横に掲げたスマートフォンで、誰かのセックス動画を流しながら、阿妻がニィッと笑いながら、教室へと入ってきた。  遠目に見る画面は小さく、2人が誰のなのかまでは、判別できなかった。 「早くおいでよ」  阿妻が廊下へと顔を覗かせ、呼び込んだ相手は浦田だった。 「何回か突っ込んでみたけど、なかなかだよ」  親指を立て、俺に向かいウインクする阿妻。  別に俺たちを仲介する人間が、誰でもかまわなかった。  今日は、雪野の代わりに浦田を使おうという阿妻の考えに、あっさりと乗る。 「そ?」  素っ気なく音を返した俺は、徐にベルトを外し、前を寛げ言葉を繋ぐ。 「とりあえず、しゃぶって?」  くったりと垂れ下がり、勃ち上がる気配のないペニスを下着の中から引き出した。  思ったよりもでかかったのか、浦田の視線が俺のペニスに、釘付けになっていた。  色狂いかよ……。  引き寄せられるように、俺の股間へと顔を寄せる浦田。  俺の前にしゃがもうとする浦田の腰が、阿妻に捕らえられる。 「こっちは、オレね」  驚いたように振り返る浦田に、阿妻は笑う。 「なに? 1人ずつ順番に、とか思ってた? 孔は2つあるんだから、待つ必要ないでしょ」  言葉を紡ぎながら、阿妻は手早く浦田のスラックスを下着ごと、ずるりと下げた。

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